シンポジウム「相続登記未了問題解決のために」(千葉県司法書士会:主催)報告書に寄稿しました

昨年2月にパネリストとして参加したシンポジウム「相続登記未了問題解決のために~空き家問題と震災復興から考える~」(主催:千葉県司法書士会)の報告書が届きました。

このシンポジウムは、近年社会問題として注目されはじめた「相続登記未了」の実態にせまり、具体的な解決策を探るために開催されました。

「相続登記未了」の増加は、課税や国土の保全に影響があるほか、空き家問題の大きな原因の一つとも指摘されています。シンポジウムでは、千葉県における相続未登記や空き家の実態・事例、またその対応策が多数の識者によって共有されました。

レポートには僭越ながら、巻頭言を寄稿させていただきました。



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巻頭に寄せて

平成29年2月2日、千葉市生涯学習センターにてシンポジウム「相続登記未了問題解決のために〜空き家問題と震災復興から考える〜」が開催されました。本報告書は、その内容をまとめたものです。当日行われたアンケート報告および各パネリストによる発表内容を加筆・修正し、収録しています。

いちジャーナリストである私も、僭越ながらパネリストとして本シンポジウムの末席に加えていただきました。そのきっかけとなったのは、千葉司法書士会で広報を務める山田達郎氏からの一本の電話でした。

平成28年の春から夏にかけて、私はウェブメディア Yahoo! ニュース特集 で土地に関する連載記事を担当しておりました。東日本大震災の復興を阻む「相続登記未了問題」や、全国で増加し続ける「空き家問題」を取り上げた記事は、非常に多くの方々に読まれ、大きな反響を呼びました。それらが山田氏の目に留まり、今回のご縁につながったのです。

被災地の取材を通して見えてきたのは、相続登記の長年の放置により、わずか数十坪の土地に100名以上の権利者が発生する等の理由で震災の復興が妨げられている現実でした。さらに取材を続けると、この相続登記未了の問題は、近年社会問題化している空き家の増加とも無関係でないことがわかってきました。空き家が発生するのは、その多くが相続のタイミングです。土地の所有に対する責任意識の変化や、少子高齢化や過疎化を背景に、親が亡くなった後、相続人である子らが家を継がないケースが増えているのです。

現行の制度では相続登記に期限はなく、罰則の規定もありません。土地の売買などをしない限り、問題が表面化することがないことから、相続登記が未了のまま放置される土地や不動産は、今後も増え続けることが予想されています。こうした傾向は、地方に限った話ではなく、首都圏の郊外エリアにも広がっています。そしていずれは都心に林立するマンションにも波及していく可能性が指摘されています。

都心に近いベッドタウンであり、自然豊かな農地や林地も抱えるなど多様な土地利用が見られる千葉県も、例外ではありません。土地所有権の空洞化が進めば、最終的にその不利益をこうむるのは私たち市民です。このような喫緊の社会課題に対して、法の専門家集団である千葉司法書士会が強い危機感を持ち、シンポジウムの開催を通じて警鐘を鳴らしたことは、非常に意義のあることと思います。

本報告書に収録された内容は、千葉県内における相続登記未了の実態、日本が抱える土地制度の課題、そして今後想定されうる個別事例への具体的な解決策を知るために大いに役立つ一冊となるでしょう。今回のシンポジウムが行政・専門家・市民が連携する契機となり、社会に相続登記の重要性を喚起する大きな一歩となることを願っています。

(以上、報告書より転載)

 

 

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