【調べてみた】フィリピンには本当にシングルマザーや事実婚が多いのか?

先日、知人と「フィリピンってシングルマザーが多いよね」という話になった。

フィリピンで暮らしていると、たしかにシングルマザーによく出会う。そして、おたがいに夫婦と呼び合っているものの、実際には結婚していないカップルにもよく出会う。そんな彼らには、子どもがいるケースも珍しくない。

以前も書いたけど、フィリピンの人口は急激に増えている。
合計特殊出生率は脅威の3.2。日本の倍以上です。
だから子どもが多い。国連人口統計(2010年度版)によれば、
15歳以下の人口は、およそ3300万人。なんと総人口の約35%もいるんです。

いわゆる「事実婚」や「シングルマザー」については、生活者の肌感覚でいうとフィリピンは日本より圧倒的に多い気がするけど、実際のところどうなの? と思ってさっそく調べてみました。



スポンサーリンク

フィリピンには本当に事実婚が多いのか?

フィリピンには宗教的な理由もあって離婚制度がないため(世界ではバチカン市国とフィリピンだけ)、結婚後にいろんな理由で別れたくなっても、非常に難しいという事情があります。
離婚するには、裁判所に「婚姻無効」の申請をして、裁判所からの正式な判決が必要となり、大変なお金とコストがかかります。そのため、貧しい人々は正式な結婚という形を取らずに、とりあえず事実婚を選択する傾向が強いといわれています。

そんな事情を踏まえて、まずは事実婚の比率をデータで見てみましょう。

フィリピン国家統計調整委員会(National Statistical Coordination Board)のレポートによれば、いわゆる事実婚の比率はわずか 4.3%
え? マジで?
データが2000年のものと古いのですが、それにしてもさすがに4%しかないってのは信じがたい。

一方、国家統計局のNational Demographic and Health Surveys(NDASs)という調査(2003年)では、15〜49歳の女性の既婚率は55.6%、Living together(事実婚?)は8%。独身女性の割合は32.2%となっています。

スクリーンショット 2014-09-04 15.02.21.png
Note: In 2003, those not living together were included either in never married, married, widowed
or divorced.Source: National Demographic and Health Survey: 1993, 1998 and 2003
Copyright : National Statistical Coordination Board

うーん。。。8%でも少ない気がするなあ。。。ネット上でデータを調べてみた限り、「フィリピンには事実婚が多い」とは一概にいえない結果になってしまいました。

じつはフィリピンにはシングルマザーはそれほど多くない?

ネット上には、フィリピンのシングルマザー率なんて都合のいいデータは見つけられなかったので、相関しそうな他のデータで検証してみます。

まずはフィリピンの婚外子比率。
2008年の国家統計局のデータでは 37% という高い数字になっています。

Table2.png

日本に比べるとめちゃくちゃ多いですね。アジアでも突出してます。
一方、2013 National Demographic and Health Survey によると、フィリピンの15〜19歳の女性のうち、すでに子どもがいたり妊娠中だったりする比率は 10%。さらに20〜24歳までの女性になると、その比率は 46%。ここで前述のレポートにあったフィリピン人女性の年齢別未婚率突き合わせると、

15〜19歳の婚姻率は 9%。
20〜24歳の婚姻率はほぼ 50%。

……あれ?
もちろん、比較データには10年の開きがあるし(2003年と2013年)、結婚(または事実婚)してても子どもがいないケースもあるし、一概には言えないけど、でもすでに子どもがいる女性の比率と婚姻率はほぼ相関してない……?

そしてもう一つ。こちらのデータ。
WFM-Figure3 001.jpg
(画像をクリックすると、元のデータにリンクします)

母子 or 父子家庭で暮らす子どもの比率を示したデータです。
これを見ると、約10% となっています。1個前の表とあわせてよく見て下さい。
じつは、フィリピンのシングル家庭率は日本より低いんです! データによれば日本は12%で、わずかですがフィリピンを上回ってます。

つまり、婚外子として産まれる割合は高いけれども、その後、結婚や事実婚する人も多く、結果として両親のいる家庭で育つ子どもが8割を超えるということみたいです。

それならなぜシングルマザーが多いように感じるのか?

データで見る限り、フィリピンの事実婚、シングルマザーは決して多いとは言えません。なぜ、こんなにも生活者の肌感覚と違うのか。考えうる理由をいくつか考えてみました。

■届け出をしてないなどの理由で、データに反映されていない
■統計の取り方がいい加減(フィリピンならあり得ない話じゃない)
■一時的にシングルになっても、すぐ別の相手と事実婚状態になるため、
データとして反映されてない。
■外国人(日本人)の生活圏にいるフィリピン人に、
とりわけシングルマザーや事実婚が多い。

こんな感じかしら。
いろいろなフィリピン関連ブログでも、けっこう話題にされてる「フィリピンはシングルマザーが多い説」。
私の英語力とデータ分析能力がいまいちアレなので、なんかスッキリする結論に至らずじまいでしが、いずれにしても、データを見ずに印象論で語ったらダメですね。

このへんの事情に詳しい方がいたら、ぜひお話をお聞かせください!

Text by Risa Shoji

スポンサーリンク

コメントを残す