今日は前回に引き続き、
セブ島で子どもの病気やケガに備える5つのポイント
についての第2弾。前回の記事 では、
1. 海外旅行保険の加入はマスト! 補償内容もしっかり確認。
2. まずは近隣の信頼できる病院を2〜3ヵ所調べておく
今日は後編として、残りの3つのポイントについて紹介します。
3. 海外の医療システムについてよく調べておく
日本では、ケガや病気をしたとき、ふつうに近所の開業医か総合病院に行きますよね。外来で受付して、症状に合った科に案内されて、診察してもらって、会計して、処方箋をもらう。もちろん、お医者さんはそこの病院に所属している勤務医です。
でも、海外では日本と医療システムがぜんぜん違う場合があります。フィリピンの例で言えば、小さな開業医院は別として、私立の総合病院の多くが「オープンシステム」を採用しています。
これはシンプルに言うと、病院がそれぞれの分野の専門医に診察室を「場所貸し」するシステム。お医者さんたちは、レントゲンや検査室、入院設備を共有しながら、病院内でクリニックを個人開業しているイメージです。
例えば、クリニックで医者に診察してもらって「血液検査が必要」と言われると、病院内の検査室に行って検査をして、結果をもらったらまず検査料を病院に払う。結果を持って医者のクリニックに戻って再度診察してもらい、適切な診断(入院の必要の有無、処方箋など)を受けたら、クリニックに診察料を払う。もし入院が必要の場合は、病院に行って入院の手続きをする。入院費は病院に払う。
……てな感じでややこしくって、慣れるまではかなり混乱します。
で、こういう医療システムである以上、フィリピンで医療を受ける場合に
最も重要なのは、『いいお医者さんを選ぶこと』。
これは現地に長く住む日本人に聞いて回ったり、日本人会におすすめ医師のリストがあるか問い合わせるなどして、自分なりに評判のいい専門医のあてを作っておくのがベストです。また、私立病院には、その病院で受診できる専門医のリストが受付にあるので、そこから医師を選ぶこともできます。
前回の記事に挙げたチョンワホスピタルやセブドクターズホスピタルは、指名できる専門医の数が多いので、何科にかかればいいかわからないときなど、やはりいちばん頼りになると思います。
なお、海外の医療事情については、コチラのウェブサイトが詳しいです!
海外の医療事情
4. 困ったら日本語のヘルプデスクを利用する
英語に自信がない場合、お医者さんに英語で症状の説明をしたり、診断の説明を英語で聞いたりするのは、かなりハードルが高いと思います。
私の経験上、ただでさえ具合悪くて頭がまわらないところに、英語で症状説明するのはかなりの無理ゲーです。ここは潔く、プロの助けを借りましょう。
カード会社や海外旅行保険会社には、ほとんどの場合、加入者向けの日本語サポートデスクがあります(そういう意味でも海外旅行保険はマスト)。出発前に必ずチェックしてください。あと、保険証といっしょに届く冊子には海外の日本語対応の病院リストが載ってる場合があるので、あわせてチェック!
そして渡航先では保険証書を常に携帯!
さて、フィリピンに関して言えば、ケガや病気の際にとても重宝するサービスがあります。「ジャパニーズ・ヘルプデスク」です。「ジャパニーズ・ヘルプデスク」は、日本人の医療を全般的にサポートする組織。マニラ、セブ、ダバオなどの主要都市の複数の有名病院に支店があります。
セブでは、先ほど紹介したセブドクターズホスピタルとチョンワホスピタル内にあります。受診の手続き、先生の手配、診断時の通訳、入院の手続き代行、処方箋による薬の購入代行まで、全方位的にサポートしてくれる頼もしい組織です。私たちもとてもお世話になりました。
また、セブドクターズホスピタルやチョンワホスピタルでは、加入している海外旅行保険によってはキャッシュレスでの対応も可能。もちろんキャッシュレスサービスにまつわる書類とか手続きなどもサポートしてくれます。最近は、ヘルプデスクに医師が常駐するようになったので、症状によってはその場で診察が受けられるのもありがたいです(たぶん内科のみ対応)。
5. 電子辞書 or 医療に関する英単語をメモって常に持ち歩く
滞在地にヘルプデスクのようなサービスがない場合、または時間外などでそういうサービスが受けられない場合は、腹をくくって自力で対応するしかありません。
例えば、私が留学3ヵ月目ぐらいのときの話。
息子が突然、40度の高熱を出し、なんかうわごとを言って笑い出したので「アカン、コレはアカンやつや!」とタクシーで病院へ。ヘルプデスクのスタッフにお願いして受診すると、息子は脱水のおそれがあるとかで即入院が決定。ヘルプデスクさんと損保ジャパンさんのおかげで、上等な個室を与えられてとりあえずはよかったんですが、夜中、息子につきそってソファで寝てたら私もなんか気づいたらすごい熱なんですよ。頭が割れるように痛い。頭の中で除夜の鐘が120デシベルぐらいで鳴ってる。
とはいえ、頼みのヘルプデスクさんはサービス時間外。もちろん病院も時間外。というわけで、単身よろめきながらエマージェンシールームを目指したわけですが(※注:夫は部屋に残って息子に付き添い)、
いやー、40度の熱でもうろうとした頭では、英語がさっぱり出てこないんですよ。
でも、どうしても言わなきゃいけない。
「保険でキャッシュレス診療にしてください」て絶対に言わなきゃいけない。
熱でもうろうとしててもお金の心配だけはできるんだから不思議なもんです。
で、看護師さんに「保険会社名は?」と聞かれたので「損保ジャパン! 損保ジャパン!」て10回ぐらい繰り返したんですけど、これが伝わらないんですわ。
「そ・ん・ぽ・じ・ゃ・ぱ・ん」(宇宙人風)とか
「ソンポジャペン !」(早口で)とか
「そーんーぽー(ここまでゆっくり)ジャパン !(早口!)」
とかいろいろバリエーション豊富に試してみたんですが、看護師さん全力で首を傾げてる。15回目ぐらいで力尽きて「キャッシュ、オーケー」と言いましたとも。どちらかというとOKというよりKOに近い状態だったんですが、そんな私に看護師さんは無言でリングサイドから白いタオル、いや白いブランケットをかけてくれました。
しかし試合はまだ終わってなかった。真っ白に燃え尽きてる私に看護師さん、なんかすごい勢いで英語で質問してる。
「いつから熱が出たか」とか「今日は何回便通があったか」とか「アレルギーはあるか」とか。
まあそのへんはイエスorノーでなんとか乗り切ったんですけど、「脱水気味なので点滴してほしい」という一言が出ないんですね。点滴なんて学校で習ってない。。。留学3ヵ月目で「点滴」という単語のひとつも出てこない悔しさをグッとこらえ、ふるえながら隣のベッドを指差して訴えました。
「私に隣のベッドと同じものを!」
看護師さんは「OK!」ってすぐ点滴してくれました。
ちなみに、脱水症状は「dehydration」、点滴は「IV」(アイヴィー)って言うそうです。そんなわけで、みなさんもこのような目に遭わないよう、病院にいくときは必ず電子辞書を持参しましょう! もしくは最低限の医療単語をカバーした自分用メモみたいなもの。とくに子どもの場合は、アレルギーとか接種済みの予防接種とかも聞かれます。
あと、母子手帳の情報(出生体重、分娩の種類、母乳or人工乳など)も聞かれる場合があるので、長期滞在が予定される人は母子手帳の英訳を携帯しててもいいと思います。ちなみに母子手帳の英訳は、予防医学推進センター で1冊6,000円で頼めるようです!
以上、5つのポイントを押さえてケガや病気を乗りきりましょう!
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追記:エマージェンシールームでの一件ですが、翌朝ジャパニーズヘルプデスクの
スタッフさんが諸々手続きくださって、無事にキャッシュレスで受診できました。
JHDのスタッフさん、損保ジャパンさんには、ほんとうに感謝です。