YouFab Global Creative Awards 2017 授賞式レポート

世界10都市に広がるFabCafeネットワーク「FabCafe Global」が主催する、デジタルファブリケーション領域のグローバルアワード「YouFab Global Creative Awards」。

今年で6回目を迎える YouFab 2017 の授賞式レポートを担当しました。

YouFab Global Creative Awards 2017 授賞式レポート(前編)
YouFab Global Creative Awards 2017 授賞式レポート(後編)



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単なる”デジタルものづくり”にとどまらない Fab の可能性

デジタルファブリケーションの黎明期から、国内のムーブメントを支えてきた YouFab。成熟期を迎えた日本のデジタルファブリケーション・シーンに呼応するように、昨年からはファブ(Fab)の定義を「デジタルとフィジカルを横断し、結合する創造性」と再定義。単なる「デジタルデータを使ったものづくり」に留まらない、真にイノベーティブなクリエイションを発掘する試みへスケールアップしました。

今回の審査員は、日本における”デジタルファブルケーションのゴッドファーザー”、慶應義塾大学環境情報学部教授 田中浩也さん(審査委員長)。そして京都工芸繊維大学特任教授 Julia Cassimさん、アーティスト 福原志保さんほか、国内外から選ばれた計5名の識者によって行われました。

レポート前編では、準グランプリとグランプリを受賞したそれぞれの作品について解説しています。後編は、グランプリを受賞したAmy Karleさんのプレゼンテーションと、審査員によるクロストークの模様を伝えています。

無生物から生命の可能性を生み出す

グランプリに輝いた「Regenerative Reliquary(再生可能な聖遺物)」は、ヒドロゲル素材の一種PEGDAを3Dプリントして作った手の骨格に、ヒトの間葉幹細胞を植え付けて培養し、人間の手の骨を再現したもの。ガラス製のバイオリアクターの中で人工の手が成長していく様子は、なんとも不思議な光景でした。

カールさんによれば、今回の試みは伝統的な遺体の展示方法を参考にしたとのことです。

骨は「死」と「生」、両方のイメージを持っています。カールさんは、そんな骨の「生」の側面にフォーカスした作品をつくろうと思い立ちます。当初、精巧な骨の模型のようなものをつくろうとしていた彼女は、あるとき全く新しい発想を得ます。分化しながら人体を形作っていく、そんな骨そのものが持つインテリジェンスを、そのまま作品に活かそうと考えたのです。

こうして無生物から生命の可能性を生み出す「Regenerative Reliquary(再生可能な聖遺物)」のコンセプトが固まっていきました。デザインのモチーフには、人間のものであることが一目で認識できる手を選んだそうです。

ファブの技術とバイオテクノロジーが融合した、シンボリックな作品ができるまでの詳細は、ぜひレポートの後編をご覧ください。

テクノロジーの進歩が突きつける倫理的な課題

今回、YouFab のレポートを担当させていただき、あらためて感じたことがあります。それは、テクノロジーの進化によって、さまざまな領域が「つながり」はじめているということ。これまでけっして交わることのなかった領域が、テクノロジーによって融合したり、あるいは細かく分化することで、どんどん未知なる分野が新しく生まれている。そんな印象を受けました。

今回、バイオとファブの融合が見せてくれた作品も、まさにそんな未知なる分野を切り開く可能性を持っています。骨を模した格子モデルに、ヒトの細胞を植え付け、ヒトの「手」が形作られたとき、それらはやがて「手」そのものとして振る舞いはじめるかもしれません。人間によって操作され、あらたに生み出された生き物は、果たして「生命」なのか。「Regenerative Reliquary(再生可能な聖遺物)」は、そんな哲学的な問いをも、私たちに投げかけます。

未知なるクリエイティビティの実験場といえる YouFab から、今後も目がはなせません。

レポートもぜひご一読ください。
YouFab Global Creative Awards 2017 授賞式レポート(前編)
YouFab Global Creative Awards 2017 授賞式レポート(後編)

 

 

 

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